書評: 金融ダークサイド 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

  • 「誰が得しているのか」
  • (本来の定義) 国際標準のマネーロンダリング … 資本金移転と自己資本漂流の構造が成立していれば該当。この構造が揃えば監視対象となる
  • ゴーン氏による日産 V 字回復の実態は、組み立て工場 3 箇所、部品工場 2 箇所の閉鎖、全世界のグループ人員 21,000 人削減、下請工場を半減させるというおのだった
    • それは誰も行ったことがないほどの「暴力」だった
    • 「労働基準法などの法規制を暴力で破ることができるほど頼もしい上場企業はない」
  • タックスヘイブンの名所イギリス領ヴァージン諸島
  • 納税は黒い経済人 (著者やゴーン) の自己防衛策
  • 預かった資産をネットオークションにかけた瞬間に横領罪になる
  • ゴーン氏、金商法は容疑の入り口で、特別背任罪こそ本丸であっただろう
  • ゴーン氏の「黒い錬金術」はとんでもないこと、あっぱれ
    • この手口を理解できる人間はほとんどいない
    • 特別背任の容疑: 会長という立場を利用して、焦げ付いた個人投資の損金 (約 18 億 5,000 万円) を知人 (ジェファリ氏) に保証 (SBL/C)させ、謝礼 (約 16 億円) を日産に肩代わりさせた
    • ↑は会社法 960 条 1 項にある「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えた」という特別背任罪に当てはまる
      • どうやって損金を日産に付け替えたんだ
  • 特別背任をゴーン氏単独で行うことは不可能で、共犯と言えないまでも「協力者」あいなければ成立しない
  • ゴーン氏の個人負債を日産に付け替えた県
    • ゴーン氏から新生銀行への提案
      • 自分の信用保証を増やしてほしい (却下されるJJ
      • 日産が自分の代わりに保証する
      • 他の金融機関に契約を付け替える
    • ゴーン氏は取締役会で「すべての外国人取締役の報酬を運用する権限を秘書室幹部に与える」というぼんやりしたものであった。これが「虚偽の約束」の根拠となる
    • 日産と新生銀行は「協力者」と考えられる
    • SBL/C のドキュメントではゴーン氏とジェファリ氏の会社間となっていたが、新生銀行はゴーン氏個人資産と知っている。これは故意か見落としか..
  • SBL/C … 信用状、ゴーン氏の追加担保となった
    • 貿易取引で行われる
    • 輸入業者、輸出業者がリスクを追わずに住む (商品こないと届けたくないし、お金は入らないと送りたくないし~
    • 輸入業者の地元銀行から、輸出業者の地元銀行へ L/C を発行して、決済が保証することで、貿易が円滑に行われる仕組みだ
    • L/C は物の取引に利用され、船積みごとに発行される
    • L/C にはインボイス (送り状) や、船名などのドキュメントが添付される
    • その L/C を物だけではなく、金融取引などにも使えるようにしたものが「スタンドバイ L/C」SBL/C となる
    • L/C は船積みのたびに発行だが、SBL/C は複数の輸送に使える。1 回の取引に 10 回の輸送が必要になるなら SBL/C のが便利
    • 国際金融の手形のように使われる
    • 30 億円の SBL/C の発行には 4,000 万 ~ 5,000 万円ほどで、30 億円の現金が必要ではない
    • 国際金融の世界では「ジャンク債」と呼ばれる債券が存在していて、、それはペーパーマネーとして利用される。ex) 1 万円で額面 1 億円の債券 (ペーパーマネー) も存在しており、それを元手に SBL/C を発行することもできる
    • ペーパーマネーを使えば、30 億円の SBL/C を、手数料や諸経費を除いて、30 万円ほどで作れてしまうのだ
    • ベネフィシャリー … SBL/C に記載される発行先のこと。コケたときに責任を負うのがベネフィシャリー
    • これらがあった 2009 年頃から、すくなくとも関わった組織・人はゴーン氏を容認していたと言える
  • 国際決済は SWIFT (国際銀行間通信協会) を通して行う。キャッシュベース、小切手、証券ベース、SBL/C もこれを使う
    • 通貨ごとの遠隔地取引先の銀行 = コルレス銀行 (Correspondent)
    • 日本だと、三菱 UFJ 銀行、SMBC などがコルレス銀行
    • 国際間の取引を行えるコルレス銀行以外の銀行を「ドメ銀 (ドメスティック銀行)」と呼ぶ。新生銀行もドメ銀だ
    • 個人情報である SWIFT のあつかう情報を、9.11 にアメリカが力で押し切り開示させた。以降、テロ対策として金の流れが規制・監視されるようになった
    • AML/CFT … このようなアメリカがとった対策のこのを呼ぶ
    • AML/CFT は実体経済に不利益を与えるほど強化されており、社会問題として提起する論文もある
  • POF コラテラル … 担保として用意した現金に対して、金融機関から「資金証明 (Proof of Funds = POF)」を相手銀行に通知してもらう仕組み
  • BD (バンク・ドラフト) … 銀行が支払いを保証する小切手。送ると相手先銀行で手続きすれば 72 時間以内で現金化できるが、現金の裏付けが必要となる (担保のようなもん)
  • BG (バンク・ギャランティー) … 銀行保証書。発行者の依頼を受けた銀行が、依頼者の与信能力に応じて発行する保証書。表世界では、BG と SBL/C の差はほぼない
  • ともにリースされており、SBL/C が額面の 9.5%、BG が 10% と差はごくわずか
  • BG は銀行のみが発行。SBL/C は金融機関だけではなく、ブローカーも発行できる。ようは、SBL/C は悪いことに使える
  • 裏の世界は「早い金」でビジネスできる。稟議なんぞない。「暴力と恐怖」がリスクをヘッジする
  • パレルモ条約 … 国際的な犯罪組織の防止に関する国際連合条約
  • 共謀罪 … ようやく2017 年に成立。日本では「人権」の問題となって紛糾 (ふんきゅう) した
    • 組織犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律。ようはテロ対策
  • ゴーン氏の場合は私選弁護人より国選弁護人のほうがよかった。注目の事件ゆえ優れた人選になっただろうと予測
  • 2020 年に閣議決定した「司法制度改革推進計画」により、弁護士は急増した。今ではファーストフードのアルバイトの時給よりも安い弁護士も存在する
  • 1981 年頃、本人確認が徹底されておらず、犬の名前で口座を作ることさえもできた時代
  • 他人資本こそビジネスの本質
    • 他人資本は絶えずジャンプが正解だと考えている
    • 他人資本の獲得こそ「マネタイズ」である
    • 他人資本の継続的な保持と、運用こそがファイナンスの核だ
    • 「資金調達」とは単にお金を集めることではなく、いかに返さなくても大丈夫なお金を集めるかということ
  • 「リスク」はマネージ (管理) するべきもので、コントロールしうる限り「リスク」ではない
  • 資金洗浄のはじまりはコインランドリー、名前の由来はそこからという説がある
  • 資金洗浄の三段階の理論化
    1. 第一弾階: プレイスメント
      • プレイス (place = 置く) メント … 正常な金融システムの中に黒い金を乗せる作業のこと
    2. 第二段階: レイヤーリング
      • 正規お金融システムにプレイスされた黒い金を、正規な取引に混ぜる作業のこと
      • 白い金と黒い金の層を作り出す
    3. 第三段階: インテグレーション
      • integration = 結合・集大成で。層を移動させて、混ぜて、結合すること
  • 愛知県にはトヨタを筆頭に、グループ傘下も含めて多いな額の輸出入を行う企業が林立している
    • そのため、愛知の銀行では、巨大な金の流れがあり 3 億円ほどなら見つかりにくくなる
  • シティ (シティ・オブ・ロンドン) … 行政区の中央部にありながら、別の視聴を持つ金融の自由都市
    • 裏表問わず、国際金融の特異点になっている。あらゆる資産を飲み込む金融のブラックホール (タックスヘイブン)
    • タックスヘイブン (またはオフショア) はマネーロンダリングの要所だが、「シティ」の模倣として作らてた
    • ドルの取引量で、ウォールストリートが 20%、シティ 40%!!
    • マネーエクスチェンジの大部分がシティで行われており、金融面でアメリカと経済戦争をほぼ互角といっていいだろう
    • 金融の治外法権であり、金融の聖地
    • イギリスの EU 離脱において、シティを失ったときの影響は大きい
  • サブプライムとは年収 $ 25,000 (約 270 万円) 以下の層を指す
  • ペーパーマネーを扱う習慣がないガラパゴス化した日本の金融機関が幸いして、ペーパーマネーをベースとした (リーマンショックなど) 金融危機の被害から逃れることができた
  • 投資銀行は「銀行」と名前こそついているが、銀行免許を持たない証券会社の別称で、ファンドとして機能する
  • バチカン銀行は長らく暗黒街のオフショア銀行として利用されてきた (ゴッドファーザー III 観よう!)
  • マフィアとは本質的にはイタリアのシシリア島出身者「シシリアン」で構成された純血の犯罪組織
  • 「従わないならドルを引き上げる」という脅し文句は国際金融の常識。金融機関の生命を奪うことに等しい
  • アメックスブラックカードは「人」が信用を担保する仕組み
  • 90 年代後半以降、新規の銀行業者は海外システムを利用することとなる。これが海外犯罪組織・技術のターゲットとされる。一部ガラパゴスシステムはまたもや幸いとして被害にあっていない
    • だから、コンビニ ATM が狙われた
  • ロシアのブロックチェーン技術大国
  • ドルを支えるものこそ「米軍」という最強の暴力装置
    • 2003 年にブッシュ大統領が引き起こしたイラク戦争の要因として、当時のフセイン大統領が石油の決済をドルからユーロにと考えたための制裁とされる
  • あるべき銀行の姿として、リスクを取るべきだ。その点だけは新生銀行は評価される
  • これから発展する国で勝負するなら、現地で資金調達しよう。日本の銀行からの融資はあてにしてはならない
  • 国際化とは出ていくことではなく、海外で獲得したものを、自国に持って帰って初めて国際化として成立する
  • ベトナムは医療他国
  • 経済的に豊かではない国には、突出した富裕層がいる。彼らの自国は貧しく投資先がないことから、投資先を持ってくる人材は歓迎される。「一緒に発展させましょう」
  • AI の HFT (High Frequency Trading = 超高速取引) は薄く売り買いをする
  • AI 取引はオルタナティブ・データ (非伝統的データ) の採用へと移っている。ホテルの予約数 (= 儲けが出る) や SNS の感情的の抽出がこれ
  • 狙うは時価総額 100 億円以下の超小型優良企業 (予算内で全買できる)
  • AI には「全部を買い取る」という選択はできない (上記の HFT)
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