書評: 愚行の世界史

1p あたり 880 個かつ小さい文字に眼がすり減った。5 冊分くらいあったがその分おもしろかった。本書も異常な文献数をうまくまとめ上げてあり、濃厚な情報 量であった。むりにまとめの段落がなく、それは読者に委ねるようなたんたんと丁寧なこの年代の本が一番好きかも。ヴェトナム戦争が特におもしろかった。最近とあるドキュメンタリーで気に入ったフレーズ「イカサマがある。それが市場だ」そんな人類の繰り返してきた欲から生まれる愚行を覗いてみよう。

  • 哲学者こそ王に
  • 私利私欲に走り生まれるものは敵意だけで、結局はその犠牲になる
  • アテナイのソロン … p.18 参照: 偉業の連続
    • 三人称で書いた日記を記録していた
    • 「一日一日彼は老いていったが、毎日新しいものを学んだ」
  • 優れた統治の才能がある人間を育てる方法 … 教育の普及、やる気を起こさせる経済的機会、社会階層の流動性、克己心の訓練
  • 精力と使命感に駆り立て行動させる
  • 人類の原型、トロイア戦争
    • ブラッド・ピットの映画がいかに忠実知る。あれは最高だ
  • キュプロス島のキュプリア
  • 政治的、道徳的堕落と悪行の結びつきで花開いたルネサンス
    • 日本にこれから起こる波乱は、いずれ歴史になったとき花開いて見えるだろうか
    • それには “発展” が必要だが、発展するものあるかな
  • 法王になるための不面目な取引を大っぴらに自慢したボルジアがおかした過ち
    • 人はいつまでたっても欲求の本質は変わらない
  • 毒殺最強
  • ヴィテルボのエジディオ「(法王アレクサンデル六世治下のローマ) いかなる法も神も知らず、黄金と武力と美女が支配していた」
    • 可愛いは正義
  • 雄弁家 マテウス・シーナーの舌
  • 殺し屋 (イル・ルイナンテ) の異名ユリウス2世はミケランジェロのローマ最初の彫刻「ピエタ」で比類なき芸術家と認める
  • 古典彫刻の「ラオコーン」
  • 権力を取得する過程は、権力を求める人間を堕落させ、残酷に様々な手段を使う。そして、道徳的目的を失うという対価を払う。歴史はしばしばそう示してきた
  • アメリカを持っているということは、イギリス本国のなにをもってしても及びつかないほど
  • “価値: 所有物 > 所有国” という政府が起こす最もありふれた愚行の 1 つ
    • 本国に残った馬鹿ばっかが、アメリカに住み着いた人たちが優秀な人たちに後にやられる
    • 植民地から税金巻き上げすべきと気づいた頃には、税という税をかさねアメリカ人激昂。この流れ、まさに愚行
    • アメリカ人はイギリスの武力に屈すると信じて疑わなかった
  • 賭博が上流社会で大流行だった時代。一晩で財団飛ばす人たちが大臣をやっていた
  • 1766 – 1770 は英国アル中時代でみんな死にまくり。平均 9 本/人 飲む
  • (七年戦争時代) イギリス大富豪のピット、激しい痛風で何もできなくなる
  • こってりな食事と大量の酒で、痛風が国家を左右する要因になっていた
    • 当時、痛風は “無念、暴飲、心労” の 3 つが原因とされ、質素で行動的な生活が予防になるとされていた
    • 当時はワインへの酒税なかったはず
  • 痛風で狂乱し精神が乱れ精神異常者が大量発生
  • エドマンド・バークの思想、そして彼はイギリス一の男
  • 女に茶が売れに売れた。茶 > 飯
  • アジア人の眼には、アメリカは白人の戦争の片棒をかつぐ者として汚れて見える
    • 私はアメリカの映画は好きだが、映画で戦争を正当化しアメリカが正義だとイメージ戦略するの愚行だと思う
  • ケネディ大統領はゲリラ戦争について述べた毛沢東とチェ・ゲバラの論文を読み、軍隊にもそれを読めと指示した
    • “革命的進歩過程” という考え方を持ち出し、それを “近代化” と呼んだ
  • 事実、もしアメリカ人に強度に民族主義的な北ヴェトナムを受け入れる利点がわかっていたとしたら、共産主義国であろうとなかろうが、生命力にあふれ、独立し、反中国的色彩がはなはだしい強い国家のほうが、国境を超えて干渉したくなるような隙だかけの分裂した交戦国より、恐ろしい中国の拡大に対してはるかにましな防壁になったに違いない
    • 裁量かつ最も知性的な人たち (ザ・ベスト・アンド・ブライテスト) にも思い浮かばなかった
    • 敵を知ることは最も重要だが、無知から行動するアメリカ人の奇妙なくせが招いた
  • アジアの指導者たちの戦術的差別「アジア人には使うが欧米人には使わない兵器」
  • 偉大に歴史に名を残したかった (記念碑も建てたかった) リンドン・ジョンソン大統領 (LBJ)。しかし、当時の公務員は「私はまるでタイタニック号の甲板の上にいるような気がする」と明言した
    • 後に、自分が有利にヴェトナムのもつれを無くす道がないことを悟る
    • アメリカの中道機関紙 “サタディ・イヴニング・ポスト” は「ヴェトナム戦争はジョンソンの誤りであって、彼はそれを大統領の権力を使って国家の誤りにした」
  • 限定戦争の能力 (これからの戦争の形) 。つまり国民の怒りを招かないで戦争する能力。その発展がヴェトナム戦争では養われた。
  • 「街を救うには、それを破壊することが必要になってきた」
  • 正当化する言葉はなかった
  • 愚行のより大きな誘因は、過渡の権力。それは船の帆が大きすぎるのが危険なように
  • 政策立案者に実行できるだけの倫理的勇気があれば、国益に反する進路を変えたり、それから逸れたりする選択の自由はつねに存在する
  • ポトマック病 … 高官職の誘惑。政府のよりよい政策の実施を台なしにする
    • 再選 > 政策の実施
  • ジョン・アダムズ「(政治は) いまでも、三、四千年前からほとんど向上していない」
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