書評: サピエンス全史

別紙メモが多すぎい。一部メモったものを記載。

  • 噂話はごく自然にできるので、私たちの言語は、まさにその目的で進化したかのように見える
  • いったん登場した文化は、けっして変化と発展をやめなかった。そして、こうした止めようのない変化のことを、私たちは「歴史」と呼ぶ
  • カロリーの高い食べ物を貪り食うという本能は、私たちの遺伝子に刻まれているのだ
  • 良い母親はなるべく複数の男性と性交する。妊娠中はなおさらだ
  • 狩猟採集時代に生き延びるためには、誰もが素晴らしい能力を持っている必要があった
  • 今日、豊かな社会の人は、毎週平均して 40 〜 45 時間働き、発展途上国の人々は毎週 60 時間、あるいは 80 時間も働くのに対して、今日、カラハリ砂漠のような最も過酷な生息環境で暮らす狩猟採集民でも、平均すると週に 35 〜 45 時間しか働かない。狩りは 3 日に 1 日 で、採集は毎日わずか 3 〜 6 時間だ。通常、これで集団が食べていかれる。カラハリ砂漠よりも肥沃な地域に暮らしていた古代の狩猟採集民なら、食べ物と原材料を手に入れるためにかける時間は、いっそう短かかった可能性が高い。そのうえ、狩猟採集民は家事の負担が軽かった。食器を洗ったり、カーペットに掃除機をかけたり、床を磨いたり、おむつを交換したり、勘定を払ったりする必要ががなかったからだ
  • 体重が最大で 8 トン、身長が 6 メートルに達するオオナマケモノに出会った
  • ガラパゴス諸島は 19 世紀になるまで人間が住んでいなかった
  • 古代の骨格を調べると、農耕への移行のせいで、椎間板ヘルニアや関節炎、ヘルニアといった、実に多くの疾患がもたらされたことがわかる
  • 母乳を減らせば、彼らの免疫系は弱まることも、永続的な定住地が感染症の温床と化すだろうことも理解していなかった
  • ニワトリほど広く行き渡った家禽はこれまでいなかった
  • 鞭や突き棒で訓練したり、彼らの体を傷つけたりする技術を開発した。飼い慣らす過程には、オスの去勢はほぼ例外なく含まれている。去勢するとオスの攻撃性が抑えられ、人間は動物の繁殖を選択的に制御できるようになるからだ
  • ブタが逃げ出さないように、鼻先を削ぎ落とす。こうするとブタは匂いを嗅ごうとするたびに、激しい痛みを覚える。ブタは匂いを嗅げないと食べ物を見つけれないし、ろくに歩き回ることさえできないので、鼻先を削ぎ落とされると、所有者の人間に完全に頼るしかない。
  • ニューギニアの別の地域では、行き先が見えないように、ブタの目をえぐる習慣がある
  • (牛やヤギ、ヒツジの) 生まれた直後にあっさり子を殺し、母親から搾れるだけ乳を搾り、それからまた妊娠させるというものだ。これは今なお一般的な手法だ
  • 牛という種の数の上での成功は、個々の牛の味わう苦しみにとっては、何の慰めにもならない
  • 近代後期まで、人類の 9 割以上は農耕民で、毎朝起きると額に汗して畑を耕していた。彼らの生み出した余剰分を、王や政府の役人、兵士、聖職者、芸術家、思索家といった少数のエリート層が食べて生きており、歴史書を埋めるのは彼らだった。歴史とは、ごくわずかの人の営みであり、残りの人々はすべて、畑を耕し、水桶を運んでいた
  • 農耕民が生み出した余剰食糧と新たな輸送技術が組み合わさり、やがてしだいに多くの人が、最初は大きな村落に、続いて町へ、最終的には都市に密集して暮らせるようになった
  • フランス革命の先頭に立ったのは、飢えた農民ではなく、豊かな法律家たちだった
  • 1776 年に書かれたアメリカ合衆国の独立宣言で、これは何億もの現代アメリカ人の協力マニュアルとsて、今なお役割を果たしている
  • フランス革命の先頭に立ったのは、飢えた農民ではなく、豊かな法律家たちだった
  • 1776 年に書かれたアメリカ合衆国の独立宣言で、これは何億もの現代アメリカ人の協力マニュアルとして、今なお役割を果たしている
  • ホモ・サピエンスの客観的な生物学上の必要を満たすのに、たいしてお金はかからない
  • 今日の人々が外国での休暇にたっぷりお金を注ぎ込むのは、ロマン主義的消費主義の神話を心の底から信奉しているからだ
  • ヒエラルキーは重要な機能を果たす。ヒエラルキーのおかげで、見ず知らずの人同士が、個人的に知り合うために必要とされる時間とエネルギーを浪費しなくても、お互いをどう扱うべきなのか知ることができる
  • 2 世紀に及ぶ奴隷制のせいで、黒人家庭の大半は白人家庭の大半よりもはるかに貧しく、教育水準が低かった
  • 白人至上主義の秘密結社クー・クラックス・クランはそのような殺人を多く犯した
  • 少なくとも産業革命以降はほとんどどこでも、男性が良い目を見てきた
  • ドイツにおいてさえ強姦法が修正され、夫婦間の強姦という法律のカテゴリーが設けられたのは、1997 年だった
  • 一般に、女性の方が男性よりも飢えや病気、疲労に強い。多くの男性よりも速く走ったり重いものを持ち上げたりできる女性もたくさんいる
  • 戦争は、並外れた程度までの組織化や協力、妥協が必要とされる。複雑な事業だ。国内の平和を維持し、国外では同盟国を獲得し、他の人々 (とくに敵) の考えていることを理解する能力が、大抵勝利のカギを握っている
  • アフロ・ユーラシア大陸という巨人は、他の世界をすべて呑み込んだ
  • なぜスペイン人はそれほど金に愛着を持つのかと原住民がコルテスに尋ねると、彼はこう答えた。「なぜなら、私も仲間たちも心臓の病にかかっており、金でしか治せないからだ」
  • 狩猟採集民には貨幣はなかった
  • 給料も大麦のシラで定められ、支払われた。男性の労働者は月に 60 シラ、女性の労働者が月に 30 シラ稼いだ。現場監督は 1200 〜 1500 シラ捧げた
  • お茶の商業栽培はインドには存在しなかったが、19 世紀半ばになってイギリス東インド会社が導入した
  • その神とは取引ができると信じていた
  • 今日、東アジア以外の人々は、何かしらの一神教を信奉しており、グローバルな政治秩序は一神教の土台の上に築かれている
  • もし悪というものがなければ、人間は善と悪を選べないから、自由意志もありえないというわけだ
  • 生物の進化が「遺伝子」と呼ばれる有機的情報体の複製に基づいているのとちょうど同じように、文化の進化も「ミーム」と呼ばれる文化的情報単位の複製に基づいているという前提に立つ
    • ミームは科学用語
  • 西暦 1500 年以前は、科学とテクノロジーは全く別の領域だった。17 世紀初期にベーコンが両者を結びつけたとき、それは革命的な発想だった
  • あなたがこの文章を読んでいる間にも、アメリカの国防総省は何百万ドルもの資金をナノテクノロジーと脳の研究所に回して、先述のものをはじめめとするさまざまなアイデアに取り組ませている
  • 中国史で最も重要な軍事的発明は、火薬だ。もっも、私たちの知る限りでは、火薬は不老不死の霊薬を探していた道教の錬金術師によって偶然発明された
  • 多くの社会では飢えよりも肥満で亡くなる危険のある人の方が多いほどだ
  • 科学と進歩の近代世界からの唯一の逃げ道、すなわち死を選んだ
  • 兵器、医薬品、機械の開発にほとんどの時間をつぎ込んだ。アフリカ人の敵に直面するヨーロッパの兵士たちの間でよく言われる台詞があった。「どう転んでも、俺たちには機関銃があるが、奴らは持っていない」。民間のテクノロジーもそれに劣らず重要だった
  • 日本が例外的に 19 世紀末にはすでに西洋に首尾よく追いついていたのは、日本の軍事力や、特有のテクノロジーの才のおかげではない。むしろそれは、明治時代に日本人が並外れた努力を重ね、西洋の機械や装置を採用するだけにとどまらず、社会と政治の多くの面を西洋を手本として作り直した事実を反映しているのだ
  • ナポレオンが 1798 年にエジプトに攻め行ったときは、165 人の学者を連れていた。彼らの主な業績としては、エジプト学という全く新しい学問分野の創設、や宗教や言語学や植物学の研究に対する多大な貢献が挙げられる
  • 月の訓練をこなすアームストロングたちに対して現地人の月への伝言「この者達の言うことは一言も信じてはいけませんあなたが他の土地を盗むためにやってきたのです」
  • コロンブスは死ぬまで出会ったのがインド人であったと信じていた。インディアンはそのため
  • 遺憾ながら、インドとペルシアに侵入したアーリア人は、そこで出会った地元の先住民と結婚して、明るい色の肌が金髪を失い、それとともに理性は勤勉さもなくしてしまった。その結果、インドやペルシアの文明は衰退した
  • パイの切り方は色々あっても、パイ全体が大きくなることは決してあり得ないのだ。多くの文化で、大金を稼ぐことが罪悪とみなされたのも、そのためだ
  • 個人起業家の利益が増すことが、全体の富の増加と繁栄の基本であるということになる
    • アダム・スミスの国富論だね
  • スミスは経済を「双方のためになる状況」として考えるように説いた
  • オランダ東インド会社 (VOC)
  • インドネシアは世界最大の群島だ。17 世紀初頭には無数の島々が何百もの王国、地方領主領、スルタン領、部族領に分かれていた
  • 今日、21 世紀の企業はあまりに強い力を蓄えているという警告の声が上がっている。もし企業が自己利益をとことんまで追求するの許されればどこまで行けるのか、近大前期の歴史はまさにそれを物語っている
  • マルクスをはじめ、当時の社会を批判する人々が強烈に皮肉を言っていたように、西洋の政府は資本主義の手先に成り下がるつつあった。政府が大資本の言いなりになった悪名高い代表例は、イギリス・中国間の第一次アヘン戦争 (1840 〜 42年) だ
  • 19 世紀後期には、中国総人口の 1 割に当たる約 4000 万人がアヘン中毒だった
  • イギリス人の年間平均砂糖摂取量は、17 世紀初めはほぼゼロだったのに、19 世紀初めには 8 キロ前後に増えた
  • 16 世紀から 19 世紀まで、約 1000 万人のアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れてこられた。その 7 割ほどがサトウキビのプランテーションで働いた。労働条件は劣悪だった。ほとんどの奴隷の一生は短く、惨めで、奴隷を捕まえるための戦争やアフリカ内陸部からアメリカに到着するまでの長旅で命を落とす者も多数いた。それもこれも、全てはヨーロッパ人が甘い紅茶とお菓子を楽しむため、そして砂糖王たちが膨大な利益を享受するためだった
  • 1876 年ベルギーのレオポルド 2 世は非政府の人道支援団体を設立した
  • さらに大きな問題は、一つの種類のエネルギーを別の種類のエネルギーに変換する方法が分からなかったことだ (蒸気機関とか
  • 使うことができるエネルギー変換装置は人間と動物の身体だけだったので、人間の活動のほぼすべてにとって筋肉の力がカギだった
  • 火薬の発明から実用的な大砲の開発までには、約600 年が過ぎていた
  • 人間の活動と産業を全て合わせても、消費するエネルギーは毎年約 500 エクサジュールで、これは地球が太陽からわずか 90 分で受け取るエネルギーの量でしかない
    • それ以外にも核エネルギーや重力エネルギーのような巨大なエネルギー源に囲まれている
  • 豚は哺乳類たちのうちでも非常に知能が高く、好奇心が強く、それを凌ぐのは大型類人猿ぐらいのものだろう
  • 乳牛、 彼らは身体的苦痛を感じるだけではなく、感情的苦痛も被りうるのだ
  • 遊びは、哺乳動物が社会的行動を学ぶ方法だ
  • 今日のアメリカ合衆国では、農業で生計を立てている人は人口の 2% しかいないが、その 2% でアメリカの全人口を養うだけではなく、余剰分を外国に輸出できるほど多くを生産している
  • アメリカ人は毎年、世界の他の地域の飢えた人全員を養うのに必要とされる以上の金額をダイエット食品に費やす。肥満は消費主義にとって二重の勝利だ。食べる量を減らせば経済は縮小するが、人々はそうする代わりに食べ過ぎ、その挙句原料用の製品などを買い、経済成長に二重に貢献しているからだ
  • 状況は逆転した。豊かな人々は細心の注意を払って資産や投資を管理しているのに対して、裕福ではない人々は本当は必要のない自動車やテレビを買って借金に陥る。資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ
  • 一般大衆が自らの渇望と感情にしたい放題にさせ、ますます多くを買うことだ。これは、信奉者が求められたことを実際にやっている。史上最初の宗教だ。だが、引き換えに本当に楽園が手に入ると、どうしてわかるのか?それはテレビで見たからだ
  • 今後あらゆる平和賞を無用にするために、ノーベル平和賞は、原子爆弾を設計したロバート・オッペンハイマーとその同僚たちに贈られるべきだった。核兵器により、超大国間の戦争は集団自殺に等しいものになり、武力による世界征服を目論むことは不可能になった
  • ロマン主義 … 18 世紀から 19 世紀にかけて、ヨーロッパに興こった芸術上の思潮。古典主義、合理主義に反抗し、感情・個性・自由などを尊重、自然との一体感、神秘的な体験や無限なものへの憧れを表現した
  • 最後の純血のタスマニア先住民となったトルガニニ (トルガナンナ)
  • 糖尿病のような慢性疾患の診断を下された人々は通常、しばらく落ち込みはするものの、症状が悪化しなければ、この新たな状況に適応して、健康な人々と変わらないほど高い評価を自分の幸福度につける
  • 貧しい常に病に臥 (ふ) せっていても、愛情深い配偶者や献身的な家族、温かいコミュニティに恵まれた人は、その貧しさの程度があまりにひどかったり、病が悪化する一方だったり、痛みが強かったりするのでなければ、孤独な億万長者よりも幸せだろう
  • 状況が改善すると期待も膨らむので、結果として客観的条件が劇的に改善してもなお、満足が得られないこともある
  • 人間の体内の生化学システムは、幸福の水準を比較的安定した状態に保つようにプログラムされているらしい
  • 自動車を買ったり、小説を書いたりしても、私たちの生化学的特性は変わらない。そうしたことは、ほんの束の間、生化学的状態を変動させることができるが、体内のシステムはすぐに元の設定点に戻ってしまうのだ
  • 陽気な生化学的特性を持って生まれた人は、一般に幸せで満足している。そうした人々は配偶者として魅力的であり、その結果、結婚できる可能性も高い
  • たとえば抗鬱薬のプロザックは、政権を交代させはしないが、セロトニンの濃度を上昇させて、人々を抑鬱状態から救い出す
  • 仏教はおそらく、人間の奉じる他のどんな信条と比べても、幸福の問題を重要視していると考えられる
  • 今からおよそ 1 万年前のことだった。動きの遅い肥えた鶏を夢見たサピエンスは、一番肥えたメンドリと一番動きの遅いオンドリをつがわせれば、生まれた子供のうちには、肥えていて、しかも動きの遅いものが出ることを発見した
  • 遺伝子プール … 互いに繁殖可能な個体からなる集団(個体群またはメンデル集団)が持つ遺伝子の総体のこと。集団遺伝学・生態学用語。個体群の選び方によって、様々な階層の遺伝子プールを考えることができる。例えば、ヒトの場合、ヒト全体・日本人・特定の都道府県の人などの遺伝子プールであり、野生生物であれば、種全体・亜種・特定の生態型などの遺伝子プールを考えることができる
  • もし一夫一妻制のハタネズミを生み出せるのなら、パートナーに誠実であり続けるように行動様式が固定された人間も生み出せない道理があるだろうか?
    • ※ ハタネズミはドンファン
  • サイボーグは有機的な器官と非有機的な器官を組み合わせた生物で、たとえば、バイオニック・ハンドを装着した人間がそれにあたる
    • バイオニック・ハンド … 生体工学を利用して作った義手
    • 果てはコンピューターや携帯電話 (この二つは、脳によるデータの保存と処理の負担を軽減してくれる) まで
  • サメが生まれつき備えている磁気検知能力を利用し、潜水艦や機雷の周囲に生じる水中の電磁場を 検知することを目論んでいる。サメの検知能力のほうが人間の手になるどんな検知器よりも優れているからだ
  • ジェシーの新しい腕 (バイオニック・アーム) には際立った特徴がある。思考だけで操作できるのだ
  • 閉じ込め症候群という病態がある。ある人が体の各部を動かす能力をすべて、あるいはほぼ全て失いながらも、認知的能力を無傷で残っている状態だ
  • 多くのプログラマーは作り手から完全に独立して自由に学習したり進化したりできるプログラムを生み出すことを夢見ている
    • それが実現すればプログラマーはプリムム・モビーレ (「原動者」)、すなわち原動力ではあっても、その創作物は、創作者も他の誰もが予想しえなかった方向に自由に進化することになる
    • コンピュータ・ウイルスなど
  • 2005 年に始まったヒューマン・ブレイン・プロジェクトは、コンピューター内の電子回路に脳の神経ネットワークを模倣させることで、コンピューターの中に完全な人間の脳を再現することを目指している
  • サピエンスだけが、約 7 万年前の「認知革命 (新しい思考と意思疎通の方法の登場)」を経て、虚構、すなわち架空の事物について語れるようになった
  • これまで考案されたもののうちで、貨幣は最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の制度なのだ
  • たとえばアメリカと政治、軍事、イデオロギー、宗教などの面で対立している国や個人さえ、ドルは受け容れている例を考えれば、その普遍性は認めざるをえない。「貨幣は人類の寛容性の極みでもある」わけだ
  • 『私たちは何になりたいのか?』ではなく、『私たちは何を望みたいのか?』
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