「恩」は心の負債みたいなものだ by イサック
- ローンとみかじめ料にほとんど違いはない
- ヒマラヤ山脈東部: 婚礼の儀は必須であり、そのために皆借金をする
- 貧しい男は娘の結婚式のために借金を強いられると多くの場合花嫁自身が担保になる。 花嫁は婚礼の夜の後で、債務者の家に出頭しそこで債務者の愛人として数ヶ月過ごすのであるが、飽きられると近くの丸太小屋に送られそこで 1 年か 2 年売春して父親の負債を返済する。 負債が完済されて初めて夫の元に戻り結婚生活が始まる
- 「借りがある」という感覚それと負債との違いは、正確に言えば貨幣である
- 数世紀にもわたって研究者たちは、この物々交換のおとぎの国を発見しようと努力してきたが 、誰も矢じりを肉の塊と交換することなどしていなかった
- メソポタミア各都市ではほとんどの取引がクレジット (信用) を基盤としていた。 物々交換から始まって、貨幣が発見され、その後で次第に信用システムが発展したわけではない!!その逆の流れが正しい
- 仮想貨幣が初期、硬貨の出現はずっとあと
- 物々交換は、現金取引に慣れた人々が何らかの理由で通貨不足に直面した時に実践したものだ
- 一枚の金貨はそれ自体に何かの役に立つことはない。人がそれを受け入れるのは他の誰もがそうするであろうと想定しているからだ。この意味において、通貨単位の価値とは、ある対象物の価値の尺度ではなく、人が別の人間に寄せる信頼 (トラスト) の尺度なのである
- pay は静める、なだめる、からきている
- 命の恩人へのお礼はこれっきり何の関わりも持ちたくないということ
- 孤独な偕楽も常に存在するものであるが、最も喜ばしい活動にはほとんど誰にとっても常に何らかの共有 (シェアリング) が伴うのである
- 音楽、食事、酒、ドラッグ、ゴシップ、劇、セックス、私たちが楽しいと思うものほとんどの物事にの根には、ある種のコミュニズム的感覚が存在している
- とある村。全くの等価物を返してしまうと、その人物は隣人と何の関係も持ちたくないととらえる
- 恩義という負債を背負っていること、まさにムチが犬をつくるように、贈与が奴隷を作ってしまった事態を承認する方法なのだ
- 労働の契約しかり、 対等[平等]ではないとする対等な者たちの間のこの合意こそ、私たちにとって決定的な重要であるように思われる。まさにこれこそ、私たちが「負債」と呼ぶものの本質である
- 債務者と債権者は、本質的な次元において、実際に対等でなければならない。また、債務者が対等性[平等]を回復することは常に可能であるはずだ
- 今も昔も、借金を抱えた女性達がその時間の大半を費やしているのは、縫い物であり、スープの下ごしらえであり、便所掃除である
- 人間経済において、貨幣は何よりもまず結婚を取り持つために使われる。花嫁代価 [価格] (bride-price) と呼ばれていたものに表現される。ようは結納金
- しかし、牛を買うのはわけが違う。仮に嫁を買っているとしても、彼女を自由にできるわけでもなく、夫婦互いの権利は同じである。あえて何かを買ったと表現するのあれば、それは彼女の子孫を我が物とする権利ということになる
- 兄弟、姉妹のトレードが完璧な結婚
- レレ族の血債 (blood debts) … 母系であるため、 男たちが女たちを統制する方法がなかったが、別の方法があった。それが血債である
- 出産の過程で女性が亡くなった場合それは彼女が不貞を働いたせいだと考えられた。だから歯の責任は不貞の相手にある
- 不貞の相手は村全体で探され、血債を負う
- 彼は被害者の最近心親に一個の人間の命を負う [借りている] とみなされる
- 犯人がそこで自分の家族から若い女性すなわち兄弟や娘などを譲渡して被害者の被後見人ないしは「人質 [質草] (pawn)」としなければならなかった
- この仕組みは貨幣を使わなくても若い女を手に入れることができた
- 人質 (ボーン) は相続される
- ボーンの支払いをボーンで済ませれるため、自分の姉妹、娘を自由にしておけれる
- だが、血債を追ったときに、またその姉妹や娘はボーンとして出される
- そもそも、なぜ血債を負うのか?それは女性が出産時の苦しみで、誰かの名前を叫んだりしてしまい、それが疑いとなり犯人となる
- 将棋のようだ
- 罠がある。レレ族の女は幼少期から、男を誘惑する技術を学ぶ
- 村の共通の女は妻「村妻」
- 「生命を奪うことを、べつの人間の生命を贈ることによってのみ支払いが可能な負債の創造と捉えている」
- ティブ族の人肉負債、別紙参照
- 奴隷制 … 万民法に従い、自然に反して、ある人間が別の人間の所有権に属することになる制度
- モラルに反せず奴隷を得るには戦争のみである
- ローマの兵士は奴隷になると全てを失う
- 暴力的な男たちはほとんど例外なく名誉に取り憑かれている
- クマル cumal … 中世アイルランドにおける少女奴隷の貨幣
- 中世アイルランドでは名誉の価値が厳密に定められていた
- 洗濯女 … 最も地位の低い召使であった。生涯を通じて使えることになる。彼女は実質的に奴隷の地位へと貶 (おとし) められた
- 名誉とはゼロサム・ゲームである
- 最大の屈辱は、姉妹や娘が誰かの選択女に貶められることであった
- 学説彙纂 (がくせついさん、ローマ法大全関連) において、自由とは、実力あるいは法によって妨げられないことなら、望むがままにことをおこうことのできる自然の能力 (natural faculty) のことである。 奴隷とは、万民法の制度であって、自然に反して、ある人間が別の人間の所有物になることである
- 文明は一度滅んでいる説、好きだな
- 枢軸 (すうじく) 時代という呼称は、ドイツの実存主義哲学者カール・ヤスパースが唱えた。ピタゴラス、ブッダ、孔子の時代だ
- 世界初の硬貨は、前 600 年頃に西武アナトリア (現トルコ) のリュディア王国で作られたものだと言われている
- 枢軸時代は、 人類史においてはじめて、書き言葉を学ぶことがもはや聖職者と官士と商人に限定されることなく、市民生活に十全に参加する上で不可欠になった時代である
- 軍隊には金が必要だ。金を発掘するには奴隷が必要だ。奴隷を確保するためには戦争が必要だ
- 中国儒教は父親を、中国仏教は母親を
- [中国仏教] 母への恩義は返せれない!自身の血肉を乳に変容させていること、自分自身の体で子どもたちを育てること
- 平均的な乳児は人生の始めの 3 年間で 180 ベック (およそ 1620 リットル) の母乳を吸収すると計算している。そしてこれが大人になった時の負債となるわけである
- この数字がすぐさま基準になった。この母乳の負債を返済すること、あるいはより一般的にいって、両親への負債を返済することは、端的に不可能である
- 仏教徒「自らの肉を切り刻み日に 3 回 46億年間、彼女に捧げたとしても」、母がしてくれたことの「1 日ぶんも返済することはできない」
- ひとは返済不可能な母乳負債からはじめる
- 解決策はここでも同じである。無尽蔵に金銭を寄進することである
- 見栄のために借金して装備を整える騎士。負けた騎士から精算で巻き上げる商人
- すべての騎士が求めた聖杯 (the Grail) が正確になんであったか知る者はいなかった
- 割符 (わっぷ) … 二つの表面が合致すれば証人は必要でなくなる
- 法的にみれば、「擬似的人格」の法人はヨーロッパ中世盛期の産物である
- 中国経済、貴金属の需要がなければヨーロッパの侵略欲求はなかったかもしれない
- アメリカ大陸を侵略した飽くことのない貧欲のスペイン人。空がカラスで黒くなるほどまでに…
- 信用を失った者は、世界にとって死んでいる。― 英語とドイツ語のことわざ
- 無からカネを生み出すことはできると信じるほど他人は愚かであると妄想したのである。― そしてまさにそのおかげで実際に無からカネを生み出したのだ
- 現代でもこの手の詐欺にひっかかる人多いもんな。みんな楽してカネを手にしたい
- 今も昔も、賃労働と奴隷制のあいだに興味深い類似性がある。あなたがだれかは重要ではない。あなたが命令を理解することができ、そこでいわれたことを実行できるということが重要なのだ
- 南海泡沫事件 (なんかいほうまつじけん) … 1720 年イギリスでおこった南海会社の株価大暴落。チューリップ同等
- 合衆国、フォートノックスの地下貯蔵庫に金を 5,000 トン保有。地球上から採掘され 1/5 〜 1/4 にあたる
- 合衆国財務省長期債権の主要保持者として中国が突然の浮上でパワーバランスが崩れていく
- 資本主義が存在しなくなる。有限の地球において永遠に成長する動力を維持することは不可能である
- 結論: おそらく世界こそが、あなたから生を借りている「あなたに生を負っている」
- 銀行とは、怠惰な金持ちから金を集める方法である。すなわち、「怠惰な金持ち」は、投資する仕事をするには想像力が乏しすぎるので、それを他者、つまり新しい富を生産するエネルギーと意欲を持った「勤勉な貧者」に委ねている
- 銀行によって勤勉な貧者に流れる仕組みができた
- 負債とは約束の倒錯にすぎない。 それは数字と暴力によって腐敗 (変貌) してしまった約束なのである
- 全ての社会が矛盾するいくつもの原理の寄せ集めであることを認識した最初の人物がモース